tipe-DOLL【No.1007】

若い女性が分厚いファイルを片手に言った。

「表面温度、内部圧、神経系、異常無し。感染症も確認されませんでした。問題ありません。」

「そう。エリカ、どう？身体に異変はないか？」

「ありません。篠宮博士。」


少女の言葉ににっこり微笑む白衣の男性。

端整な顔立ちだが、左目は長い前髪で隠されている。

「よし。じゃあ、今日の検査はこれで終わりだ。次の検査は来週行う。エリカ、帰っていいよ。」

「わかりました。」

少女は無表情のまま、頭を下げ、その場を去った。