tipe-DOLL【No.1007】
「何か用があったのか?」

コンビニの袋をゴミ箱に捨て、篠宮はラジオの電源を入れながら言った。

赤いラジオからはクラシック音楽が流れる。

――無伴奏チェロ交響曲。

「え?」

「外の世界に何か用があったのか?検査の後出歩いたってことだろう?」

エリカは黙って目を伏せた。

「エリカ。」

畳み掛けるように篠宮が言う。

「別に怒っているわけじゃない。単純な質問だよ。」

「…用は特にありませんでした。」

「じゃあ、なぜ外に出た?」

「…わかりません。」

エリカは膝を抱えて、顔を伏せた。

篠宮はふうっと息を吐いた。




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