tipe-DOLL【No.1007】
エリカが完成した日を麗子は今でも覚えている。

半年前―――

「博士…これは…」

「うん。今までの欠陥はすべて改善した。そして、今俺の持つ技術をすべてぶちこんだ。…完成形じゃないかな。」

その場にいた人間は全員歓声を上げた。

もちろん麗子も。

培養液の入ったボトルの中の裸の少女。

やつれ、目を下に隈を作った篠宮は慈しむようにボトルの表面に手をおいた。

他の助手たちは単純に完成の喜びに浸っていたが麗子だけは篠宮の姿に違和感を感じていた。




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