tipe-DOLL【No.1007】
逆光で顔がよく見えなかったが声だけでわかる。

下手すれば気配だけでもわかるかもしれない。

十六年間、いつも隣にいる女の子。

「美子。…パンツ見えるよ。」

美子は勢いよく座り、健の鼻をつまんだ。

「ほめんなひゃい。」

「よろしい。」

満足気な美子の笑顔。

この笑顔も世界が壊れたら、無くなるんだと思えば、健の胸はキシリと痛んだ。



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