tipe-DOLL【No.1007】
頷く美子の柔らかな髪を風が揺らす。

健は戸惑いながらも口を開いた。

「でも…難しいんじゃないかな?手掛かりもないし。」

「もう一度あの場所に行ってみるわ。何なら彼女の立ち去った方角にも。」

「危ないよ。」

「わかってるわ。」

二人の視線はぶつかったまま、動かない。

美子の頑固さを十六年間、健は肌で感じてきた。

何を言っても決意は揺るがないだろうとはわかっていた。

それでも、言わずにはいられなかった。



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