tipe-DOLL【No.1007】
篠宮は口元に笑みを作りながら、左の前髪をいじっていた。

そして軽い口調で話し始めた。

「エリカ、それはね…」

「ごめんなさい。」

「え?」

「私、博士を困らせたんですね。」

エリカは瞳を伏せて、篠宮から視線を逸らした。

篠宮は驚いた。

エリカに感情を読まれた。

そんなことをプログラムした覚えはない。

「どうしたんだ。エリカ。そんなことないよ。どうしてそんな風に思ったんだい?」

篠宮はエリカの腕を取り自分の方に向き直らせた。

じっとエリカの瞳を覗きこむ。

金色に近い茶色の瞳。

人工光彩がはっきりとわかるその目は篠宮の胸を締め付けた。



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