tipe-DOLL【No.1007】
窓の外を眺めながら、篠宮は続けた。

「人は愚かだからね。どうにも出来ないとわかっていても、時に無謀な行動に走ってしまう。」

「あ…さっきの話の答えですか?」

エリカはようやく事情を把握した。

「うん。その男の子は女の子を守りきれるとは思っていなかったはずだよ。二人して殺されることはわかっていた。だけど、彼女を見捨てることは出来なかったんだよ。」

「…愚かだからですか?」

篠宮はエリカを見て、微笑んだ。

「ああ、人は本当に愚かだよ。特に…愛が絡むとね。」

呟いた篠宮の口元は笑っていた。

けれど、瞳は暗く暗く光を失っていた。



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