tipe-DOLL【No.1007】
「で、どこに行くつもりなの?」

「こないだ彼女に会ったところよ。」

「いなかったら?」

「彼女の立ち去った方角に行ってみる。大体覚えてるから。」

健は眉を潜める。

美子は健の心配が手にとるようにわかった。

立ち止まって、軽く健の腕に手を触れる。

「ん?」

いつもの穏やかな表情で美子を見る。

「…一緒に来てくれてありがとう。」

美子は不器用に微笑んだ。

「めずらしく殊勝なことを言うね。」

健はにっこり笑うとまた歩き始めた。



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