tipe-DOLL【No.1007】
幸いモンスターに遭遇することもなく、二人は初めてエリカに会った場所に到着した。

例によって立ち入り禁止の看板とバリケードが張り巡らされていたが、よじのぼった。

美子は辺りを見回してため息をつく。

もちろんエリカはいない。

「まぁ、そんな簡単に見つかるわけないよね。」

健は美子のがっかりした顔を見て言った。

「うん。どっち?」

「え?」

「あの子の立ち去った方角。」

美子は斜め後ろを指差した。

「よし。じゃあ、行くか。」

「うん。健、やっとやる気になってくれたの?」

健は曖昧な笑顔を見せた。



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