tipe-DOLL【No.1007】
健と美子はまだアパートの周りをうろうろしていた。

「美子、今日は諦めて帰ろう。」

「ええ!?どうしてよ!?」

「やっぱり手がかりが少なすぎるよ。もうちょっと調べて、出直そう?」

「調べるって何を調べるのよ!せっかくここまで来たのに…」

喚く美子を健がなだめていると長身の男が声をかけてきた。

篠宮だ。

「ねえ、君たち。」

健と美子は同時に振り返る。

「あ、さっきの…」

健が言うと篠宮はにっこりと微笑んだ。

「こんな所で何してるんだい?」

二人は口をつぐんだ。

モンスターから助けてくれた女の子のことは秘密にしていたかった。

沈黙が流れ、健が口を開いた。

「…あなたこそ、こんな所で何をやっているんですか?」

「俺?」

「はい。さっきそこのアパートに入って行きましたよね?ここは要注意区域なのに…こんな所に住んでるんですか?」

「ちょっと健…」

強い口調で言う健の腕を美子が掴んだ時、篠宮が言った。

「君たちはもしかしてエリカに助けられた子たちかな?」

健と美子は目を見開いて、絶句した。



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