このキズで俺はお前を縛る
「愛子、気をつけた方がいいわよ」

「何に?」

愛子が首をかしげて、不思議そうな顔をした

「聖一郎さんの母親が、動きだしたわ」

「立って歩けるようになった…とか?」

馬鹿か…この状況で、変な発言をしてんじゃねえよ

聖一郎の母親は介護老人かっての

まだ40歳のバリバリウーマンだ!

バリバリウーマンってなんだ?

俺も愛子に影響されて、へんな言葉を使うようになったなあ…

「馬鹿?
それとも緊張をほぐしたいだけの寒いギャグ?」

「両方ってことで…」

俺は、愛子の書き終えた書類を、とんとんと端を机に叩いて揃えた
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