このキズで俺はお前を縛る
まずくはないけど…おいしくもねえ

「あと…こっちがウインナーで
こっちがシーチキン」

なんで…まずマーボナスを食ってしまったのだろう

軽く後悔だよ

「たくさんあるから」

「見りゃわかる」

皿にてんこ盛りじゃねえかよ

山になるくらないら、別の皿に盛れよ

見た目が悪いだろうがっ

まあ、これを盛ったのは母親だろうけど

センスねえんだよなあ…こういうのに

茶道の教室を開いてるとは思えねえよ

…まあ、教師をしてるのは父親だけどさ

「おいしい?」

雪乃が聞いてくる

「え…あ、まあな」

「良かったぁ」

雪乃が嬉しそうに笑った

俺は視線を外して、ふぅっと息を吐き出す

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