くものある町
結局、筆箱を取りに戻ったせいで図書館に着いたのは約束の時間を一時間も過ぎてしまっていた。
仕方ないよ、夏の坂道が死ぬほどつらかったんだ。
駅の駐輪場に自転車を止めて図書館に入っていく。
この町では一番おおきな図書館、本の数が何十万冊もあるって聞いたことがあるけど別に俺が
数えたわけじゃないからその辺は本当かどうかわからない。
図書館の中はクーラーがよく効いていて、汗でべっとりと張り付いたシャツに空気がひんやりとあたってくる。
しばらくその状態でぼけっとしていたので周りから見れば変な奴に見えていたかもしれない。
そんな俺に誰かが声をかけてきた。
友人の大介だった。
「おい裕也、お前みたいな変人の友達もう嫌だよ、友達やめていい?」
「出会っていきなりそんなことを聞かれたた俺はどうすればいい?」
「笑えばいいと思うよ」
とりあえず、今日中には絶対コイツを殴ろうと思った。
「みんなどこにいるんだ?早くそこに行こうぜ」
「お前…それが遅刻してきた奴の言うセリフかよ」
大介はそう言いながらエスカレーターの方に向かって歩き出した。
俺もその後をついていく。