くものある町
俺は勉強道具を片付けながら腕時計を見る、時刻は昼の一時、これから遊ぶとしたらそれなりに時間はある。
けれど、俺としてはこのままクーラーの効いた部屋でゆっくりと過ごしていたいものだ。
なのに、なのに大介の奴こう言いやがった。
「夏らしく、プールにでも行かね?」
俺の拳が大介のわき腹にヒットしたのは言うまでもないだろう。
仕方なく、大介の提案を受け入れて、みんなで市民プールに行くことになった。
あんな人だらけの所に行こうだなんて気が狂っているとしか考えられない。
なので、俺と里奈は最後までその案を拒否していたのだが、唯が大介の案に賛成してしまいどうしても行くと言って聞かなかったのだ。
まぁ、蝉取りに行こうなんて言い出さなかっただけマシとするか。
そして今、俺はプールの近くの公園でみんなを待っている。
大きな木の木陰に入って。
家から水着を取ってきて後からこの公園に集合、ということで一度解散したのだが、
待てども待てどもみんなが現れる気配が一向にない。
俺はポケットからタバコを取り出して火をつけ、煙を口の中に溜め、深く息を吸い込み、空に向かって吐き出す。