ピンキーリング
シルバーがいいと言ったのは、値段と私のプライドを考えたからだ。

だからわざわざシルバーと指定した。

その作り笑顔も、哀しい。

「いいよ。じゃあピンキーリングね。サイズはいくつかなあ。」

「この間お店の人にはかってもらったんだー。1号だって。」

「1号?小さすぎない?」
「だって小指だもん。そんなもんだよ。」

またイベリコ豚を口にする。

だが彼女はさっきからすべての料理を半分しか食べられていない。

イベリコ豚なんて、ほとんど無理矢理胃につめこんでいるのだろう。

やたらと水をのんでいるのはそのせいだろう。

「じゃあ俺が選んでいい?」

「えーっ!ちょっと心配だけど…まあいいよ。」

元気な笑顔でそういった。

本当は一緒に買いに行きたいだろう。

私のセンス云々よりも、ただ一緒に指輪を選びに行きたいだろう。

だがそのリスクの高さを彼女は知っている。
だから承知してくれるのだ。
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