私の敵は『俺様』です。


拒否しようとしたあたしの言葉を杞憂 葵が遮った。


こ…校則第十四条……


入学式で瞬間的に頭に焼き付けた校則が真っ白な頭の中にポツン、と浮かんだ。


「……退学」


小さな声で呟いたあたしを見つめながら、杞憂 葵は満足そうに口元を吊り上げる。


「御名答」


卑怯な!!!


脅したよ、今脅したよっ!?


コイツ、絶対悪魔だ!!


悪魔だ、鬼だ、魔王だっ!!!


ギリリ、と悔しそうに杞憂 葵を睨むあたしとは対照的に彼はその天使とも思える顔ににっこりと優雅な笑み(とびきりムカつく笑顔)を浮かべる。


「ほら、言って?」


まるで幼児に向かって言っているかのような口調。


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