私の敵は『俺様』です。
あたし、選択する志望校間違えた…?
自己中男、杞憂 葵様
「あぁ、最悪…最悪だぁ」
「52回、53回。夢、あんた今日最悪って言ったの53回目よ?」
「だって最悪なんだもん……はぁ、最悪、最悪だよ…」
早く終わった学校の放課後にベッタリと自分の席で項垂れているあたし、高宮 夢。
そして、あたしの目の前であたしが言った〝最悪〟の回数を数えているのが中学の頃からの親友。
そのナイスボディと綺麗な顔から落とした男は星の数、という肩書を持つ神崎 理衣だ。
「っていうかなんで杞憂 葵が夢のこと知ってたんだろう」
「そんなのあたしが聞きたいよ~!しかも断ったら退学なんて―…、これは新種のイジメだよ、絶対」
すると理衣は首を傾げた。
それに合わせて理衣の茶色のきれいなショートの髪がさらり、と靡く。
首傾げがこんなに似合うのは理衣だけだと思う。
「うーん…そうかなぁ?ま、どっちにしろさ、あんな俺様な奴ちょっと付き合って振っちゃえばいいでしょ?」
…満面の笑みを浮かべる理衣に悪魔のしっぽが見えた気がするのはあたしだけ?
「しかも仮でしょ?大丈夫だって!とにかく、今日は帰ろうよ?」
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