私の敵は『俺様』です。
早く家に帰りたいのだろう。
理衣は既にちゃっかり鞄を持って教室のドアの前に立っていた。
「うん」
あたしも急いで鞄を肩にかけて理衣のところに行く。
教室のドアを閉めて、廊下を歩き始めた。
パタパタと二人分の足音が静かな廊下に響く。
「なにかあった時は、私が助けてあげるから大丈夫!」
なんだか凄い説得力のある言葉だ。
理衣は中学の頃、ピンチの時にあたしを助けてくれる救世主だったんだ。
「うん!!っていうか昨日のドラマがさ――」
「あ!あれでしょ?「菊次郎の恋日誌」!」
安心して、違う話題笑い合っていると、曲がり角で誰かとぶつかった。
ドンっと体に衝撃を受けて、フラリ、と後ろに尻もちをつく。
い、いったぁ!!!
「す、すみませ…!?」
謝ろうと顔をあげれば、誰もいなくなっていてあたしは一瞬動きを止める。
.