私の敵は『俺様』です。


あっという間にあたしの目の前に来た杞憂 葵。


すると、制服の内ポケットから紙を取り出して、あたしに差し出してきた。


おどおどしながら杞憂 葵の顔と差し出された紙を見比べて、ゆっくりと紙を受け取る。


め、名刺…?だよね、コレ。


なんで高校生が名刺なんて使ってんだぁぁぁ!!!


「…それと」


紙(おそらく名刺)に目を通そうとすると、突然頭上から声がかかって、頭をあげる。


……と、


「俺のことは葵って呼んでくれていいから」


な、な、ななな!?


「何でそんなに近距離なんですかぁっ!?」


鼻先約5mmのところに杞憂 葵の綺麗な顔が!!


漆黒色のビー玉みたいな瞳でじぃっと見つめられ、どんどん体温が上がっていってる気がする。


「それにっ!!先輩なんですから呼び捨てなんて出来ませ――」


「校則第十四条、〝杞憂 葵に逆らえば――〟?」


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