学校トランプ
ズルッ…

ズルッ…

一歩一歩地面に足をつけたまま歩く。

視界一面に広がる血の海。


「…西村?」


ゆっくりと見える職員室の中の現状。

血まみれで倒れてる教員たち。

見たくないのに、足が勝手に動く。

どうやって、殺されたんだろう。

どんな思いで、死んだんだろう。

嫌な疑問ばかりが頭をよぎる。


「ぁ……っ…」


声にならない思い。

張り裂ける胸。

時計に目をやればもう1時になろうとしていた。

あと、21時間…

こんなことがあと21時間も続くの…?

先生もいなくて、正体の分からない犯人と立ち向かえって?

無理に決まってる…誰も信じられないのに…

グラッ

体がよろめく。

ベチャッ――

靴下と上履きに生々しい血が付く。

ぱしっ

反射的に左手をついたと同時に、右腕を掴まれた。


「西村…大丈夫かよ…おかしいぞ?」


振り向くと、龍が手を掴んでくれてた。


「りゅ…ぅ…」


ぐいっ

手を引っ張られて、みんなのいる廊下に出る。「もう見んな」


龍に真っ直ぐ見て言われた。

こくん

俯いて答えた。

もう見たくない。

でも、左手に付いた血を見ると、瞼を閉じてもさっきの光景が離れなかった。
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