学校トランプ
『お姉ちゃん…』


テレビの画面に泣いている真央が映った。


「真央っ!?」


夏帆たちは身を乗り出した。


『西村夏帆、うるさいよ~。こっちは見えてるんだからね~』


え…?


“こっちは見えてる”


…?

この言葉がなぜか引っかかった。


『ガタッ…』


小さい物音がする。

真央は気付かない。

真央…逃げて。

画面にうっすらと黒い影が見える。

ねぇ…真央、逃げて。

静まり返った教室に、心臓の音が響く。


「逃げて…」


微かな声で言った。


『~♪……もしもし?お姉ちゃん…』


ゆっくりと真央の背後に黒い影が迫る。


「逃げて…真央…」


ガラッ

龍が廊下に出る。

すぅっ


「山内――――逃げろ――!!」


龍が男子の声の大きさで真央に叫ぶ。

夏帆は急いでテレビを見た。

真央…気付いて…

画面の中の真央が龍の声に気付く。


「真央!!逃げて!!」

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