学校トランプ
「龍、でも…もう」


『もう死んじゃったかも…』


そう言いかけて口を閉じた。

弘樹…死なないで。

ううん、弘樹は死なない。

そう、信じたい…

夏帆は携帯を開いた。

弘樹へ届いても、見ることが出来るか分からないけど…


宛先:弘樹

題名:今どこ?

本文

弘樹、どこにいる?

あたしたちは無事だよ。

弘樹は無事?

みんな心配してるから、これ見たら返信してね。


ピッ

=送信=


「弘樹…」


夏帆は携帯を握り締めた。

どうか、届きますように…弘樹に。

ねぇ、神様。

こんなことをしていいの?

あと17時間であたしたちは何が出来る?

このゲームを終わらせられるの…?

考えれば考えるほど、不安は押し寄せる。


「弘樹…」


「西村、待とう。弘樹は絶対生きてる…」


龍…

夏帆は目を閉じた。

すぅ

決して澄んでるわけじゃない空気を吸った。

夏帆、大丈夫…

しっかりするの。

あなたなら大丈夫。

ゆっくり目を開ける。
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