学校トランプ
「みんな…」


5人がいっせいに夏帆を見る。


「あたしたちは真実を知らなきゃ」


「真実って…?」


「あおい、真実は真実。七道修平のことも、全部」


「知ってどうするの?夏帆」


優梨の言葉に緊張が走る。

夏帆は躊躇った。


「…止めるの」


「止めるって…このゲームを!?」


小結は焦ってる。


「あたしだって本当は嫌…怖いよ。でも、これ以上犠牲者を出したくない」


「夏帆…」


「もう、誰も死なせたくない…」


掠れて声が出ない。

一瞬にして静まる。

賛成してくれなかったら…


「夏帆、あたしも」


琴葉は一歩前に出て、この沈黙を破った。


「いいの…?」


一歩間違えれば死ぬかもしれない危険なこと。


「死ぬのは正直怖くないの。ほら」


長袖の袖をまくって見えた左手首は、無数の線が引かれていた。


「琴葉…これ…」


傷口が痛々しい…リストカット。


「…笑っちゃうよね~、死にたかったのに」


琴葉の目に滲む涙。


「怖くて、深く出来なかった…」
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