学校トランプ
「琴葉…」


「もう中毒みたい。私ね、虐めにあってたの」


初めて話される琴葉の過去――

中1の琴葉は成績優秀だったため、たちの悪い集団に目を付けられ虐めにあう。

中2では耐え切れずリストカットを始める。

虐めが終わった高校でも、琴葉はリストカットを続けてきた。


「今も、してるの?」


「もう終わったのに…何でだろうね。たぶん私自身が嫌なの」


震える琴葉の手。

4年間傷付けた自分の手首。


「周りの子より成績が良くて、流行後れで…嫌なとこばっかりなの、私」


琴葉の頬に伝う涙。

痛かったはずなのに、止めなかった琴葉。


「馬鹿…」


ぎゅっ

夏帆は琴葉を抱きしめた。


「それが琴葉なんだよ?あたしはそのまんまの琴葉が好きなの…もう自分を傷付けないで…」


夏帆も涙を流した。

苦しかったね、辛かったね。

痛かったね…でも、もう溜め込まないで。

あたしがいるから。

ぎゅぅっ

さっきよりも強く抱きしめた。


「あ゛~もう!!琴葉も夏帆も馬鹿!!」


「「へっ!?」」


振り向くと大泣きしてる優梨がいた。


「優…梨?」


「あんたたち本当馬鹿!!」


「琴葉はリスカなんてすんじゃないの!!」


優梨が泣くなんて…
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