学校トランプ
「優梨動くんじゃねぇ!!」


ヒュッ

彰は素早く時雨の懐に入って、腹部を刺した。


「ウッ…」


ドサ…

時雨は倒れた。


「こいつが起きねぇうちに、行こーぜ」


彰は返り血の付いた頬を拭って時雨から1枚Jokerを取った。

クラッ

夏帆はそのとき、今日のことが全て走馬灯のように駆け巡った。

そして、気付いた。

時雨は…死んでない。


「彰!!後ろ!!」


グッ

ドラマのように。


「やっ…」


映画のように。


「包丁とか…ずりぃんだよ…クソ…」


リアルに感じる、恐怖。

時雨の包丁が彰の背中に刺さる。

ズルズル…

時雨はもう起き上がらなかった。


「彰!!」


彰に駆け寄る優梨。


「馬鹿野郎…何、泣いてんだよ…」


ありがちな恋愛小説だったら。


「泣いてなんかっ…グスッ…」


ぎゅっ

彰は優梨を弱々しく抱きしめた。


「もう…守ってやれねぇ…だから」

< 77 / 79 >

この作品をシェア

pagetop