一線  死神は舞う
泣きじゃくる未美の隣で、

生の儚さを感じた。







死の近さを感じた。







神や天使の存在を否定した。














親父は

公務員だった。

立派に働いていた。



お袋は

聖母マリアのような人だった。




二人が死ぬ理由なんて、

どこにもなかった。






ただひとつ

わかったことは、


親父とお袋が死んで変わったのは、

俺と未美だけだ

ってこと。





世界は

何事もなかったかのように回っていた。









俺は何も言わずに
仏壇の前を離れた。



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