My Story ━自分物語り━
Realが嫌でVirtualへ逃げ込んだ

First Stage Real Online GAME

ランドセルが上下に激しく揺さぶられながら小さい背中に必死に張り付いている。
息を吐く度白い湯気になり消えてゆく。
少年は兎に角早く家に帰りたいのだ。
終業式が終わり明日から冬休みに入る。通信簿で初めて5をとったから嬉しくて嬉しくてしょうがない。

『ただいま―!!お母さん!』

慌てて長靴を脱ぎ母親を探す。今日は仕事が休みで家で待っていると朝言ってたから。

なのに

部屋はどんより暗く、寒かった。
買い物にでも行ってるのかと思い少年は電気とストーブのスイッチを入れた。やかんに水を注ぎ火にかける。
ふたつのマグカップにコーンポタージュの粉末を入れやがて沸いたお湯を注いだ。
慎重に運びテーブルに置く。重いランドセルをおろし通信簿を丁寧に取り出す。
早くお母さんに見せたいなあ。
コーンポタージュをふうふうと冷ましながら一口飲んでテーブルの向こう側に置いてある紙切れに気付く。
少年は手を伸ばし自分の元へ持ってきて声を出して読んだ。

『ごめんね、心慈』

それは
離婚届けと少年へ対してのメッセージだった。
外は雪化粧。
日付はクリスマス。
いくら待っても母親は帰ってこない。
もうひとつのコーンポタージュはつめたく、冷めきっていた…
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