僕様王子に全てを奪われてⅡ
「後部座席に移動してくれ」

え?

元がわたしから視線をそらした

額に手を置いて、深いため息をつく

「ちょ…」

「乙葉お嬢様、早く後部座席にお戻りください」

…なんだよ、それ

むかつく

意味がわからない

どうして、そうなるんだよ

なに、勝手に一人で決めてるんだよ

言いたいことがあるなら、わたしに言えよ

「はいはい、そうですかっ!」

私は助手席から降りると、車には乗らずにずかすかと歩道を歩き始めた

すぐに携帯が鳴る

相手は元だ

『どこに行く』

「一人で帰る」

『何を考えてるんだ』

「それはこっちのセリフだ
先に帰ってろ」

私は電話を切ると、地下鉄の駅の階段を下りて行った
< 100 / 205 >

この作品をシェア

pagetop