僕様王子に全てを奪われてⅡ
「まいったな」

僕はぼそっと呟くと、耳の後ろを人さし指で、かりかりと掻いた

しばらくは高波さんの話に流されていれば平気ですよね

僕は写真を手に取ると、じっと眺めた

「愛子ちゃんと付き合ってるんですか?
お見合い相手がいるのに?」

「えっ? あ…その…このことは滝沢さんには内緒に…」

「ええ、いいですよ」

高波さんがにっこりと笑った

僕はほっと息をつく

まるで、黙ってくれている高波さんに安心するかのように

「ただ…タダで黙っているってなると…思わず口が滑ってしまうかも…」

「え? それは…」

僕は写真をテーブルに上に置くと、視線を高波さんの目に会わせた

「これ次第って、口が堅くなったり、軽くなったり?」

高波さんが手をあげると、親指と人差し指で円を作る

お金次第ってことですね

まあ、それを狙って会話をしているわけですけど

< 160 / 205 >

この作品をシェア

pagetop