僕様王子に全てを奪われてⅡ
「は? 私が女の格好してる理由?
そんなの決まってるじゃない
聖一郎さんの虫よけスプレーになるためよ」

教室に入るまえに、事務的手続きをしている私に向って冴子がさらりと答えた

「え?
虫よけスプレー?」

「いざというときは、聖一郎さんの婚約者になるの」

「はうぅっ…なんか、記憶にある気が…」

私は手に持っているボールペンを強く握った

「愛子、気をつけた方がいいわよ」

「何に?」

私は首をかしげた

「聖一郎さんの母親が、動きだしたわ」

え?

動き出したって

どういうこと?

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