僕様王子に全てを奪われてⅡ
「雪乃とメールしてだろ?
どんな内容をメールしてたんだ?」

女顔とは似ても似つかない低ーい声で、冴子が口を開いた

私は冷蔵庫からお茶を出すと、首をかしげた

「別に、普通だけど」

「普通って?」

「冴子さんと仲がいいんですか?、とか」

「で?」

「雪乃さんは、幼馴染だって言ってた
いろいろ家で嫌な思いをしたから、冴子に会いたくなったって」

「ふうん」

冴子が『ちっ』と舌打ちをすると、横を向いて腕を組んだ

「お兄さんに連絡したのって…冴子?」

「そうだよ
雪乃は、兄貴の嫁だ」

「ええっ?
だって…蒼野って…」

「正確には嫁じゃねえけど、時間の問題だろ
許婚なんだから」

私はコップにお茶を入れると、ふうっと息を吐いた

「許婚でも絶対に結婚するとは限らないよ」

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