僕様王子に全てを奪われてⅡ
障子がゆっくりと閉まる音が聞こえた

わたしが顔をあげると、元が『ふぅ』と長い息を吐きだした

なんでため息みたいな息を出すんだよ

ため息をつきたいのはわたしのほうだ

「食事、食わなかったのか」

「忙しかったんだろ」

私は横を向いた

「違う
乙葉のことだ
食ってないのか」

「食べられると思うのか?
この状況で」

「倒れるぞ」

「倒れても誰も心配などせん
食べたくない」

「…そうか」

「そうだ」

部屋が静かになる

それだけかよ

他に聞きたいことはないのかよっ

私ばっかり、胸が苦しくなって

悲しくなる

苛々して

どうしていいかわからなくなる

「もう寝…っ、あっ駄目…」

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