僕様王子に全てを奪われてⅡ
元の口元がにやりと緩んだ

目を細めて、お椀を眺めながらゆっくりとテーブルに置く

「そういうことか
どうりで有栖川のお坊ちゃまがお早い終わりだと思ったよ
お茶にねえ…とんでもねえ家だ」

馬鹿じゃないの?

なに一人で優雅に納得してるんだよ

さっさと行けよ

我慢できなくなって辛くなるのはあんただろ?

「さっさと行けよ
私は朝までここにいるから
朝までには戻ってくれば…いいから」

わたしはげんに背を向ける

さっさと行けってば

ここにいられると、嫌なんだ

期待…させるな

わたしに興味がないなら、さっさと部屋を出ていけ

「すぐに帰りたかったんじゃないのか?」

「帰りたい
けど…そうもいかないだろ」

わたしの背後に元が立った

「帰りたいなら、さっさと立て
着付けてやる」

「でも…」

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