僕様王子に全てを奪われてⅡ
気のせいですかね?

僕の気のせいであってほしいですけど……

「愛子さん」

僕は立ち上がると、愛子さんの背後から抱きついた

もちろん僕の手は、愛子さんの胸へと移動する

「ちょ…有栖川っ」

愛子さんの動きが、硬直する

いつまでたっても慣れない人ですね

可愛い人だ

いじめたくなる

困った顔を見たくなる

瞳に涙を溜めて、僕を見て欲しいよ

「こんな格好で僕の前に立ったんですよ?
それなりの覚悟はあったのでしょ?」

僕は愛子さんの耳元で囁いた

「え…っと、ただ学校に行きたいなあ…って」

「それだけ?
僕の体を熱くさせておいて、無視するんですか?」

「し…知らないわよ!
そんなこと…」

「『そんなこと』?
僕の体の変化を『そんなこと』で片付けてしまうんですか?」

愛子さんの目じりが下がって、困った表情になる

可愛い、その顔

僕は愛子さんの笑顔で好きだけど

返答に困っている顔も大好きですよ
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