僕様王子に全てを奪われてⅡ
でも態度や言葉の端々から、愛情を感じようと思えば

きっと感じられると思うんですけどね

随分と、嫉妬深い方ですよ

僕はくすっと笑うと、椎名さんの頭を撫でた

「嫉妬はしてもらいたいくて、してもらうものではないでしょ?」

僕はふっと視線を上げると、椎名さんの頭にある手が凍りついた

元さんが、鋭い目で僕を睨んでいる

いや…僕は、別に…そういう感情はありませんからっ

誤解しないでくださいよ!

ああ、この顔を椎名さんが見られればどんなに喜ぶでしょうねえ

「どうしたんだ?」

椎名さんが、振り返って僕が見ているほうに視線を向けた

「元がどうした?」

なんでですかっ!

どうして椎名さんが振り返る直前に、いつもの表情に戻っちゃうんですかね!

好きなんでしょ?

他の男に触れられたくないんでしょ

なら、椎名さんにわかってもらえるようにしたらどうです?

男のほうばっかりに喧嘩を売っていても、何の解決にもならないじゃないですか
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