神の家-ゴッドハウス-
episode1
イザナギと神様。
神の家の入り口。
ふらふら散歩をして帰ってきたら、その目の前には、綺麗なブロンド髪を持った華奢な青年が背中を向け、突っ立っていた。
「ゼウス!…何やってんの。そんな所でボーっと突っ立って。」
正直言って邪魔なんだけど。
という言葉は全能の神様には失礼なので飲み込む。
ゼウスと呼ばれた青年は、その声の主の方へ振り返った。
これまた綺麗な空色の瞳が現れる。
しかし、青年は何も言わない。
「…うわ、シカト?一体どうしたっていう………ーって、ナニそれ。」
ゼウスに近づくと、彼の足元、玄関の前の一段上がっているアスファルトの上に、何かが横たわっていた。
漆黒の色が、それが何を表しているのかを物語っていた。
しかし、確証はないので、さらに近づく。
「げっ…、やっぱし人間じゃん!!…どうすんのこれ?」
横たわる人間(確定)を指差しゼウスに問う。
「…気に入ったから、飼う。」
「うっわぁ〜、出た君の気まぐれ。」
ぽつりと、呟いたゼウスの一言に嫌悪感を露わにする。
「…ん?でもよく見ると美形だね、これ。流石ゼウス様だ。」
意識を失っているようだが、閉じている瞼につく長い睫や、色白の肌、漆黒の髪は艶があってサラサラ。寝ていても完璧である。瞳はどんな色をしているのだろう?きっときれいに違いない。
と妄想に胸を膨らませていると、無慈悲な言葉が襲った。
「…アポロン。君に任せる。」
「うん。…ってはぁ!?ち、ちょっと自分で拾ってきた物じゃん!自分でどうにかしなー」
「任せた。」
アポロンの言葉を全部聞かずにそういうと、ゼウスはスタスタと玄関の中に入ってしまった。
ぽつんと取り残されたアポロン。明らかに、おかしい。
おかしすぎる。
「…この気まぐれやろー…。」
んべーと思いっきり閉じた玄関に舌を出した。そして一通りゼウスの悪口を言い放った。
「うんスッキリした。…さて、取りあえず中に運ばなくちゃね。」
んーと、手を高く伸ばし背伸びをした。
「ー退屈しなくて済むのかな?」