君から僕が消えるまで

それから話は進んでいた。


「へぇ~健チャンって東京から来たんだ」


「うん。まぁ…」


「じゃぁ~宮城のこんな田舎じゃあつまらないんじゃな~い?」


結衣がニヤニヤと尋ねてくる。


「う~ん…?まだこの辺ぜんぜん知らないし…本屋さえあれば、街なんていらないよ…どうせ行かなかったし」


「え~もったえなぁ~いっ!?結衣は街行きたいなぁ~。ね?未来っ」


今まで騒いでいた彼女が今だけ急に静かになっている。


「あ…うん。そうだね…東京…か。」



なぜだろう。

彼女の目が悲しみに染まって見えた。

酷く辛そうで、今まで話していた明るい彼女とな別人みたいだった。


「…良いねっ!!未来達なんて修学旅行くらいだよね♪」


「ぁっ…。うん♪」


そう言って彼女はいつもみたいに笑いだした。


多分気のせいだったんだ。


彼女が悲しそうに見えたなんて…




俺はその時まだ、彼女の事を全く知らなかった。
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