君から僕が消えるまで
「はいはい。新入生の諸君席に着いて~」
先生が教室の前のドアから入って来た。
皆近くの席に座り始める。
「私の名前は志賀直也だ。数学担当で、これから君達の1年間を担当する。」
先生は頭のてっぺんが薄くはげていて小太り、だけど人の良さそうな顔をしている。
動物に例えるなら…
「ねぇ、あの先生カバに似てない?」
隣からひそひそと彼女が話かけて来る。
俺は苦笑した。
「俺もちょうどそう思ってた…」
すると彼女は小さく笑う。
「だっ…だよね~」
「そこっ!?仲良しなのは良いが新学期そうそうお喋りしない。」
ーげぇ…。
「はぁ~ぃっ♪」
さっそく怒られたと言うのに、彼女は少し嬉しそうだ。
「あれ…お前等名前は?」
先生がずれていた眼鏡を直しながら尋ねて来る。
「鈴木未来と…こっちは中村健チャンです♪」
ーぎゃぁぁぁ!?
「ほぉ、学年主席と転校生か…こりゃ良い。二人共前に出て司会をしなさい。」
ーおぃ。
嘘だろ…。
「はい。皆今から委員や校則を言うから聞けよー。」
「ほら、健チャン行こーよっ♪」
ーこうして僕は彼女と出会ったんだ…。