君から僕が消えるまで
「おっ、斉藤!聞けよ~建チャンってばよ」
「岡田っ!?誤解だからなっ…まぢっ」
「何が誤解なの?」
ーこの声は…。
「おっ♪鈴木良いとこに来たっ、耳かせよ」
「何~?」
岡田は彼女に近ずくとこそこそと話始める。
「ばっー…」
ー終わった…。
聞き終わった彼女は訝しげなに目を細めて俺を見た。
「おぃ…まぢ、誤解だからな?俺は時計を見ただけで…」
唇を噛みながらぶつぶつ答えると彼女は「べっ」と舌を出した。
「建チャンの変態~♪」
そう言ってアハハと笑った。
周りの奴等も笑った。
だから…俺もつられて笑った。
こんなに笑う毎日は久しぶりだった。
なぜだか…ひどく心が暖かかった。
暖かかったんだ。