君から僕が消えるまで


なぜか目頭が熱くなって来た。



ありえない



なぜ?




不思議と赤かった世界が急ににじみ出す。




不思議でたまらなかった。




七年前、父親に殴られた時も。



五年前、ペットの猫が死んだ時も




三年前、祖父が亡くなった時も




二年前、たちの悪い不良に囲まれ暴力された時も




一年前、嫌いじゃなかった彼女に別れを告げられた時も






不思議と悲しみはなかった。



ましてや、目頭が熱くなる事などない。




この何年間も涙と言う存在を忘れて生きていたのかもしれない。





きっと涙が出そうになるのは、




ー隠していた心を見透かされた気がしたから。




本当はずっと誰かに言ってほしかったのかもしれない…






ー【1人じゃないんだよ】ー






っていう。





そんな言葉を…。



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