君から僕が消えるまで
「そろそろ着くんじゃない?」
結衣が嬉しそうに窓の外を指指す。
小さく入り口が見えて来た、
バスにはもう健一達と親子一組しか居なくなっていた。
バスから降りると少し錆び付いた入り口に廃れたペンキの色…
人が言ういかにも幸せな家族が大げさに笑っている看板の周りに動物達の絵
それを健一はぼ~っと見つめていた。
「中村?…どうした、みんな行ってるぞ?」
斎藤がまた涼しい笑みを浮かべていた。
「あ…わりぃ、何て言うか…久々何だよな…動物園来るの」
「何だよ、そんなの俺もだって」
斎藤は俺に気ずかってくれてるのか、それとも本当なのか…
まだあんま付き合ってないけど、いつも本当の気持ちが読みにくい…
せめて岡田くらいわかりやすければ…
―まぁ…あれはあれで困るな…。
とにかく、良い奴なんだろうと思った。
「お~い!!二人とも!!」
未来が手を降っていた。