君から僕が消えるまで
俺達は入り口のベンチに腰掛けた。
未来はいそいそとバックからピンクの包みを取り出して健一に突きつけた。
「え…?これ、未来は食べないの?」
「私…食べて来たから…いいの」
―俺も食べて来たんだけどな…
それでも彼女の気持ちが嬉しくて俺は包みを開けた。
「は…?」
呆然とした俺を彼女は焦ったように見上げた。
「ごめっ…嫌いな物とかあった!?ってか不味いよねぇ!?…あ―も―なんか…ごめん…もぅ、やっ~」
「すげー上手い!!」
彼女は一旦ポケッとして口を開き俺を見ていたが、その顔は一瞬赤くなった気がした。
しかし彼女はすぐ顔を下に向けてしまった。
「じゃあ…よかった」
「うん、やばい!!これ、鈴木一人で作ったの!?」
「未来だってばぁ~!!…うん、そ~だよ」
「実は母ちゃんに手伝ってもらった…とか~?」
「ちっ…違うよ~!!」
「あっ!!今ごもった~、怪しい~」
「も~未来が作ったんだってばぁ~!!もう、没収するよっ!!」
「あ!!嘘だって、ごめん、このと~り!」
「じゃあ許す!!」