君から僕が消えるまで


バスは一時間の道乗りを揺れる。


疲れたのか結衣は未来の、岡田は健一の肩にもたれて寝息を立てていた。




「寝ちゃったね…」

隣で彼女が柔らかく笑っていた。


「本当っに幸せな奴だぜ…」



健一は一人端で黙々と本を読んでいた。



バスのなかで、彼女とあまり言葉は交わさなかったが、



何だか心が暖かかった。



バスを降りると各自解散になった。



岡田は無理やり途中まで結衣を送ると言って二人で帰った。



岡田は結衣狙いに定めたらしい。




俺達はそれを少々呆れて見送って、



斎藤も自転車で帰ったあと、俺達の間にも一瞬の静寂。



「じゃあ…俺達も…」


そう言いかけた時、


「ねぇ、ちょっと浜辺歩かない?」




彼女は綺麗に笑った。




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