君から僕が消えるまで


だんだん日が落ちて来て、空や海は赤く紅く染まる。



俺の少し前を歩く彼女の、髪も白い肌も服も、世界の全てが薄紅色に染まる。



「未来この時間の海が一番好き…」



俺は何も言えない、



世界が全て薄紅色に染まるなんて…


逆に言えば一番苦手だ…



嫌な思い出ばかり…



「健ちゃん、ありがとね…未来のわがままいっぱい聞いてもらって…未来、今日凄く楽しかった!!」



「え…!?あぁ…そんな事ないよ…俺も楽しかったし…弁当とか…まじ美味しかったし…」



未来は少しうつむいてからまた顔を上げた。



「明日…未来…お弁当作って行ってあげよっか…?」



彼女の顔がやけに紅かったのはきっと夕日のせいだろう。



そして俺も…




今日…、違う、これからも…彼女となら、思い出になっても良い…。




いや、違う。



忘れたくないって…初めて思った。





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