君から僕が消えるまで


「健チャン…海好きだって言ってたし…健チャンなら、見せてもいいかなって思ったの」



彼女は照れも何もしていない、



ただ真剣な瞳で風景を見つめていた。



逆に健一が恥ずかしくなって来てしまう。




「…弁当…弁当食べよう!!昼休み終わっちまうし…」



「そ~だねっ、はい。これ未来の」



彼女は昨日と似たような可愛らしい赤い包みからお弁当を取り出す。



「あ…サンキュー、これ俺のやつ」



健一は何の飾りもお洒落の欠片もないような包みと、お弁当箱を差し出した。



彼女のお弁当の中身は色鮮やで、子どもが好きそうなメニューやおかずが所狭しと並んでいる。



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