宙(そら)にとけて、しまう
「姉ちゃん、自殺したのかもってのも昨日考えて、
ちょっとゆーうつになった」
「まさか、そんなわけないよ」
「普通そうだよな。10歳の子が死のうとしないって。
それに、姉ちゃんは別にいじめられたりしてなかった。
おれ、姉ちゃんのこと好きで、幼稚園脱走して、
姉ちゃんの学校見に行ったことだってあるけど」
「すごいね、それ」
「すごいだろ?
で、おれが言うのも何だけど、
うちの姉ちゃんて、
おとなしいくせになんか注目されるっていうか、
一目置かれるタイプだったと思うんだよね」
「いいねー、そういう女子」
「友達だって、
多いってほどじゃなかったけどけっこういて、
うちに遊びに来たりしてたし、
今思い出すからわかるんだけどさ、
表面だけじゃなくて、ホントに仲良さそうだったし」
「うん」
「家も普通に平和だったから、自殺もきっと違う」
「うん、うん」
うちの姉ちゃん、という言い方で、
初めてヒデミを痛々しいと思った。
きっと自殺じゃない。ただ溺れたんでもない。
じゃあどういうこと?
家出したとか、まさか殺されたとか、言いたいの?
そういう突飛な話は、
いつもわりと冷静なヒデミに似合わないだけに、
わたしは妙にドキドキしていた。
でも、ヒデミときたら、もっと突飛なことを言ってのけた。
「姉ちゃんはさ、海からどこか違う場所に行ったんだよ。
どこだかわかんないけど、
宇宙とか、地底とか、そういうとこに」
ちょっとゆーうつになった」
「まさか、そんなわけないよ」
「普通そうだよな。10歳の子が死のうとしないって。
それに、姉ちゃんは別にいじめられたりしてなかった。
おれ、姉ちゃんのこと好きで、幼稚園脱走して、
姉ちゃんの学校見に行ったことだってあるけど」
「すごいね、それ」
「すごいだろ?
で、おれが言うのも何だけど、
うちの姉ちゃんて、
おとなしいくせになんか注目されるっていうか、
一目置かれるタイプだったと思うんだよね」
「いいねー、そういう女子」
「友達だって、
多いってほどじゃなかったけどけっこういて、
うちに遊びに来たりしてたし、
今思い出すからわかるんだけどさ、
表面だけじゃなくて、ホントに仲良さそうだったし」
「うん」
「家も普通に平和だったから、自殺もきっと違う」
「うん、うん」
うちの姉ちゃん、という言い方で、
初めてヒデミを痛々しいと思った。
きっと自殺じゃない。ただ溺れたんでもない。
じゃあどういうこと?
家出したとか、まさか殺されたとか、言いたいの?
そういう突飛な話は、
いつもわりと冷静なヒデミに似合わないだけに、
わたしは妙にドキドキしていた。
でも、ヒデミときたら、もっと突飛なことを言ってのけた。
「姉ちゃんはさ、海からどこか違う場所に行ったんだよ。
どこだかわかんないけど、
宇宙とか、地底とか、そういうとこに」