人魚姫
第一章
母親と私
―‥ねぇ、お母さん?なんで人魚姫は泡になっちゃったの?
―‥それはね、人魚姫が王子様を大好きだったからよ
―‥大好きなのに大好きって言わないの?
―‥うーん‥凛ちゃんにはまだ難しいかもね。それが人魚姫の愛なのよ?
―‥あい?
―‥そう。愛よ。
―――顔が熱い。
あぁ。昨日帰ってきてカーテンを閉め忘れたのか。
ベッドの脇にある窓から眩しすぎるくらいの光が差し込んでいる。
昨日は店が忙しくて疲れていたから、化粧も落とさずに眠ってしまった。
煙草に火をつけながら鏡を覗くと、アイメイクが崩れてパンダのように目の周りを黒くしていた。
『ぶっさいく‥』