隣の星の新くん




芯のお母さん



少し苦手だった



それは小さな頃



芯と出会ってから変わることはなくて



あたしはいつも芯の家に来るたび、顔を合わせるたびに心臓がどくどくと早く脈打つのを感じていた



芯には言ってない



だって芯の大切なお母さんだもん



外で会おうって言えばいいんだけど、言い出しにくくて言えなくなってた



あたしが我慢すればいいんだから、問題ない



芯の部屋に入ると、準備万端で待っていて



隣のクッションを叩いて隣においでと示していた



笑顔を貼り付け、腰をおろす



「おばさんがお饅頭出してくれた」



「やった」



嬉しそうに頬張り、DVDを再生させる



クレヨンじんちゃんの映画は面白くて、笑って泣けた



あっという間だった



気づけば外は暗くなっていて、映画を見終えたあたしは芯の家を後にした



いろんな家の晩ご飯の匂いが空気に混じってる



芯と家はほんとに近くて、歩いて5分のところにある



ふと気づくと、家の前に腰を下ろす人



誰かなんて形で分かった



「アラタ」



声をかけると、制服のアラタは黒目がちの目をこちらに向けた



「家で待っててくれればいいのに」



少し肌寒い外で待ってたら風邪ひいちゃうじゃない



いつ帰ってくるかわからないのに



文句を言うあたしに、アラタはふにゃりと笑いながら立ち上がった













.
< 18 / 88 >

この作品をシェア

pagetop