隣の星の新くん
芯のお母さん
少し苦手だった
それは小さな頃
芯と出会ってから変わることはなくて
あたしはいつも芯の家に来るたび、顔を合わせるたびに心臓がどくどくと早く脈打つのを感じていた
芯には言ってない
だって芯の大切なお母さんだもん
外で会おうって言えばいいんだけど、言い出しにくくて言えなくなってた
あたしが我慢すればいいんだから、問題ない
芯の部屋に入ると、準備万端で待っていて
隣のクッションを叩いて隣においでと示していた
笑顔を貼り付け、腰をおろす
「おばさんがお饅頭出してくれた」
「やった」
嬉しそうに頬張り、DVDを再生させる
クレヨンじんちゃんの映画は面白くて、笑って泣けた
あっという間だった
気づけば外は暗くなっていて、映画を見終えたあたしは芯の家を後にした
いろんな家の晩ご飯の匂いが空気に混じってる
芯と家はほんとに近くて、歩いて5分のところにある
ふと気づくと、家の前に腰を下ろす人
誰かなんて形で分かった
「アラタ」
声をかけると、制服のアラタは黒目がちの目をこちらに向けた
「家で待っててくれればいいのに」
少し肌寒い外で待ってたら風邪ひいちゃうじゃない
いつ帰ってくるかわからないのに
文句を言うあたしに、アラタはふにゃりと笑いながら立ち上がった
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