隣の星の新くん



長い授業も終わりあたしはそそくさと友達に別れを告げて学校を後にした



華道部に入ってるけど、幽霊部員



友達と一緒に遊んで帰らないのは、今日は読みたい雑誌の発売日だから



いつもなら遊びに行くとこなんだけど、登校時にコンビニで買って、帰ってからゆっくり読むのがあたしの毎月の決まり事



誰もいない家に帰って、自分の部屋のベッドに制服の上着を投げ捨てる



肩までのやや暗めのブラウンの髪を一つに纏め、部屋着に着替えて完全オフモードになるか悩んだけど、早く読みたいから止めておいた


お母さんはスーパーでパートしてる時間だから後2時間は一人暮らし気分を味わえるってわけだ



鼻歌なんか歌いながら、あたしは上機嫌でキッチンに飲み物とお菓子を取りに行き、ベッドに寝転がって雑誌を開いた



三分の一ほど読んで、ふと視線を上げると部屋の隅に塊がひとつ



「………」



まさか…



薄いタオルケットにくるまっていて何か分からない感じになっちゃってるけど、残念ながらあたしには心当たりがある



雑誌を放置して、あたしは塊に飛びついた











.
< 2 / 88 >

この作品をシェア

pagetop