隣の星の新くん
あたしの視線に気づいたのか、アラタと目があった
ふわり
今の二人の間の空気みたいに笑う
こんな、何だか一緒に居たくなる空気を持ったアラタが好き
そういう"好き"じゃなくて、人として?存在として?
芯とは違う"好き"なの
二人には言ってないけど、アラタは初恋の人
出会ってすぐに大好きになった
小さなあたしは、伝える術も、何をすべきなのかも分からず終わった
その後悔があったから芯には感じた気持ちを全て伝えなきゃって思ってる
嬉しいとか
好きだとか
言わなきゃ分からないことで世界は出来てるから
「アラタ」
「ん〜?」
「ありがと」
「ん〜」
お礼を言われる意味がわからないのか、アラタは首を少し傾ける
分からなくていいや
言いたかっただけなの
アラタはゆっくり伸びをすると埃を払いながら立ち上がる
「そろそろ行く」
「うん、また日曜日だね」
「うん。じゃあね」
手をひらひらとさせながら、アラタは見えなくなった
きっとユミカさんのところ
アラタの居場所
居場所だって感じられる場所があるならいい
あたし達はそれになれなかったけど、強制するものでもないから
肌寒さにぶるると体を震わせて、あたしは家に入った
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